世界遺産登録の概念の変化
1990年代初頭までは記念物や建造物が作られた当時のままで残されていることが重視されたため、ヨーロッパの教会や中世の城が多く登録された。
リストに不均衡が生じることが懸念されたため以下の方策が取られた。
1992年 文化的景観
人間が自然と共につくり上げた景観を指す概念。文化遺産と自然遺産の境界に位置する遺産。1993年、ニュジーランドのトンガリロ国立公園が初めて適用された。
文化的景観の3つのカテゴリーは以下のとおり。
- 意匠された景観:人間によって意図的に設計され創造された景観。庭園や公園、宗教的景観など。
- 有機的に進化する空間:世の要求によって生まれ、自然環境に対応して形成された景観。産業とも関連している。内訳は、1.「残存する景観」既に発展過程が終了している。2.「継続する景観」現在も伝統的な社会の中で進化する。
- 関連する景観 自然の要素がその地の民族に大きな影響を与え、宗教的、芸術的、文学的な要素と強く関連する景観。
1994年 グローバルストラテジー
「世界遺産リストにおける不均衡の是正及び代表性、信用性確保のためのグローバル・ストラテジー」
世界遺産リストの不均衡を是正するための戦略。基準の見直しや世界遺産をもたない国からの登録強化、産業に関連する遺産の登録強化、先史時代や現代の遺産の登録強化。
既に世界遺産リストに複数の遺産が登録されている国に対し、推薦の間隔を自発的にあけることや、登録の少ない分野の推薦、世界遺産をもたない国の推薦と連携を求めている。