2014年12月21日日曜日

登録基準と代表的な日本の世界遺産

1:人類の創造的資質を示す傑作
姫路城

2:文化交流を証明する遺産
法隆寺

3:文明や時代の証拠を示す遺産
古都奈良の文化財

4:建築技術や科学技術の発展を証明する遺産
厳島神社

5:独自の伝統的集落や、人類と環境交流を示す遺産
白川郷

6:人類の歴史上の出来事や伝統、宗教、芸術と関係する遺産(他の基準と組み合わせて用いる)
原爆ドーム

7:自然美や景観美、独特な自然現象を示す遺産
九塞溝、屋久島

8:地球の歴史の主要段階を示す遺産
ハワイ火山国立公園

9:動植物の進化や発展の過程、独自の生態系を示す遺産
白神山地、小笠原諸島

10:絶滅危惧種の生息域で、生物多様性を示す遺産
知床

世界遺産条約の主な年表

1931年 アテネ憲章採択 礎がスタート
1945年 ユネスコ憲章採択  世界遺産の取り組みがスタート
1948年 IUCN設立
1954年 ハーグ条約採択 第2次大戦の反省を活かす取り組み
1964年 ヴェネチィア憲章採択 ハーグ条約の10年後の憲章
1965年 ICOMOS設立 ヴェネチア憲章の翌年設立
1972年 世界遺産条約採択 世界遺産条約
1978年 最初の世界遺産12件が誕生 条約採択から6年後
1992年 日本が世界遺産条約を批准 条約採択から20年後

2014年12月7日日曜日

世界遺産と観光

有名な観光名所の多くは世界遺産に登録されて、世界中から人々が訪れることが「相互理解」「多文化理解」に繋がっている。
一方で遺産を保護保全し、次の世代へ引き継いで行く世界遺産の考え方と、従来の観光のあり方との間には相容れない点がある。

  • 文化遺産;観光客が訪れることで、生活文化や信仰形態が乱される恐れ。
  • 自然遺産;外来種の問題や環境破壊、ゴミやトイレ問題など。

価値を守りながら観光を行う方法が世界遺産登録前に考えられてこなかったという準備不足の面が大きい。
エコツーリズムなどの持続可能な観光を目指す必要がある。

トランスバウンダリーサイトとシリアルノミネーションサイト

トランスバウンダリーサイト
国境を越える遺産。多国間の協力の下で、遺産を保護・保全することを目的としている。
自然遺産;オランダとドイツにまたがる「ワッデン海」
文化遺産;ベルギーとフランスにまたがる「ベルギーとフランスの鐘楼群」

シリアルノミネーションサイト
連続性のある遺産。
文化や歴史的背景、自然環境などが共通する資産を、ひとつの資産として顕著な普遍的価値を有するものとして登録する。
文化遺産;フランスのロワール渓谷
自然遺産;ロシアのカムチャツカ火山群
それぞれの遺産が国境を越えて存在する場合はトランスバウンダリーサイトとなる。

人間と生物圏計画(MAB計画)

環境資源の持続可能な利用と環境保全が目的。
1971年にユネスコが立ち上げた研究計画。
保護すべき自然を「核心地域(コアエリア)」「緩衝地帯(バッファゾーン)」「移行地帯(トランジションエリア)」の3段階の区域に分けて重層的に保護。
世界遺産条約はこのうちの核心地域と緩衝地帯を援用している。
「核心地域」は、世界遺産では「資産(プロパティ)」と呼ばれる。
近年では小笠原諸島でバッファゾーンを設定する代わりに、小笠原諸島から東京湾までをトランジションエリアのようにして保護するなど、遺産のあり方も多様化している。

日本と世界遺産

日本の文化財や記念物は文化庁、内閣官房の有識者会議によって決定する。

  • 文化庁:文化財保護法などの保護下にあるもの
  • 内閣官房の有識者会議:稼働中の産業遺産

日本の自然遺産は環境庁と林野庁が協議して推薦候補を決定する。
推薦候補の中から「世界遺産条約関係省庁連絡会議」でユネスコの世界遺産センターへの推薦候補が決まる。

世界遺産基金

世界遺産条約では、世界遺産基金を設立し締約国の拠出金や政府間機関、団体、個人などからの寄付金をもとに運営している。
「緊急援助」大規模災害や紛争による被害への援助
「準備援助」推薦書や暫定リストを作成するための援助
「保全・管理援助」専門家や技術者の派遣や保全に関する技術提供のための援助